納得!「だけ」の魔法

納得!「だけ」の魔法

ヨリモに、好きな作家の1人である角田光代さんの「筆の向くまま」というコラムがある。

月いち更新であるのがなんとももどかしい限りだが、噛みしめて読んでしまうコラムなので、毎回楽しみにしている。

今月のコラムのタイトルは「だけ」というシンプルなものだった。

一体どんな内容だろうと思ったら、思わず苦笑してしまう内容だった。

誰でも一度はこの「だけ」という言葉の魔法に掛かったことがあるのではないだろうか。

「だけ」では駄目だとどこかで思いつつも、「今度だけは」と願ってしまうのだろう。

角田さんも「だけ」に弱く、ついつい乗っかってしまううちの1人のようである。

私は驚いた。

角田さん「だけ」はこういう言葉の魔法に掛からない人だろうと思っていたからだ。

根拠はないが、小説を読む限りそのような印象を持ってしまうのだ。

角田さんが仰るには、健康関係やダイエット関係に「だけ」が多用されているということだった。

考えてみたらその通りだ。

「これを食べるだけで痩せる」「これをするだけで健康になれる」などの謳い文句は、世の中に五万と転がっている。

誰もが思う。

これだけなら自分にも出来るかもしれない。

私もついつい乗っかってしまう謳い文句だ。

そして、数日で気付くのである。

また騙されたと…。

本当は騙されてなどいないのである。

頭の中に「そんなはずはないだろう」と思う気持ちがあるのに、望みを託してしまったのは自分自身なのだから。

しかし、角田さんの考察はこうである。

楽な「だけ」と楽ではない「だけ」が存在すると。

私達がつい望みを託してしまうのは楽な「だけ」の方だ。

「これを食べるだけで痩せる」というのは、明らかに努力をしようとしていない証拠である。

でも、痩せるにしても「毎日10キロ走るだけ」なら痩せられる(角田さんの友人の話)というわけだ。

考えてみたら、人生は全てそうだった。

クリアしようと思う目標のため「だけ」に力を注げば、自ずと結果が出せた。

時々失敗することもあるが、大抵は良い結果が出るものなのだ。

最後の締めが面白かった。

同じ「だけ」でも、調理に関する「だけ」にはなびかないというのだ。

考えてみたら、私も調理に関する「だけ」には乗っからない。

「簡単!3ステップだけ」などという文字があっても、3ステップの中には沢山の工程があることを知っている。

そうか、そういうことか!

今閃いたのだが、食べるのを1割減らすだけで痩せられるということだ。

これなら実行出来そうだ。

毎食1割減らせば、1日で3割減らすことになるのだから。

ファスティング

一生賃貸

数年前からずっとマイホーム建築の計画を練っていた友人のMさん。

ここ最近、このあたりの土地の値段が下がってきていることもあり、

「いよいよ買い時か!?」

と噂されていたのですが、先日会ってその話をしてみたところ、

「……やめたのよ。うちはこのまま賃貸でいくわ」

意外な返事が返ってきました。

Mさん宅は転勤族です。

これまでずっと、3~4年おきに全国各地を転々としてきました。

今の職場はちょうどご主人の実家の近く。行き来も頻繁にあることから、

「マイホームを建てるならここで!」

と夫婦で舞い上がっていたそうです。

ところが、いざ土地を買おうとすると、なぜか上手くいきません……。

条件が合うところは値段が折り合わず、値段が折り合うところは条件が合わない。

お子さんがすでに二人とも小学生になっているMさん。子どもたちを転校させなくてもいい学区内で、と考えていたのですが、場所を限定してしまうとさらに条件が厳しくなるのですね。

値段と条件の「妥協点」を見極めるのがものすごく難しく、なかなか決定打が出せなかったとのこと。

いくつか住宅メーカーを回り、そこで土地も紹介してもらっていたのですが、メーカーを決める以前に土地が決まらず。

さらには、

「本当にこのメーカーで大丈夫なの!?」

という疑問もわいてきたりして、ますます訳が分からなくなってしまい……。

一度だけ、「ここなら……」という土地が見つかり、手付金も入れたのですが、

「この土地はやめたほうがいい。地縛霊みたいなものがついている」

という根も葉もない噂を聞いてしまい、そうなると気になって気になってどうしようもなくなり、話を白紙に戻してしまったそうです。

最近、家を建てたばかりのママ友達から、

「気に入って買った土地だけど、隣人がややこしい人で困っている」

という話を聞かされたことも、土地購入を躊躇する原因になったと言っています。

マイホームのことを考えると、気分が華やぐどころかどよーんと落ち込んでしまい、夫婦の意見の食い違いから言い争いも増えていき、

「もうこんな思いをするくらいなら、一生賃貸でいいや」

という結論に至ったのだとか。

確かに賃貸は気楽です。

好きなときに好きなところへ引っ越せますし、たとえ隣人が変人でも、一時的に隣に住んでいると思えば我慢もできます。

実際にマイホームを持ってみて、そのデメリットも経験している私は、土地に縛られることを拒否したMさん宅のような選択もありだなぁ、と思います。